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日本学術振興会産学協力研究委員会
                     インターネット技術第163委員会
JSPS 163rd Committee on Internet Technology
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ITRC1期趣意書

いま計算機ネットワークを利用した情報・通信の技術は革命的に進歩しつつある。この流れは、やがて応用技術を進化させ、計算機上で表現できる知的活動すべてを 大きく変革させるに至るだろう予想されている。このような流れの中心に位置してきたのが、世界規模の計算機ネットワーク、インターネット(Internet)である。 インターネットは、わが国では1980年台半ばから主要大学や文部省所轄の共同利用研究所さらには情報関連企業を中心にボランティア活動をベースに広まり始めた。 そして文部省学術情報センターがインターネットの幹線を全国的に展開し、多くの大学や研究所にLANが整備されるようになると、指数関数的な広まりを見せ、いまでは 多くのマスメディアを巻き込んだ社会現象にまでなりつつある。

インターネットの急速な発展の歴史とその将来性を見ると、わが国には緊急に取り組まねばならない課題が幾つか残されている。これらの課題の背景には、ネットワーク技術 (インターネット技術)が総合的かつ複合的な性格をもつことがあると指摘されている。すなわちインターネット技術は、大学や研究機関、通信産業、電子産業、 ソフトウェア産業だけでなく、教育、出版などの知的活動、商業活動とも深く関わる総合的かつ複合的な技術であり、それゆえに日本の社会が不得意としてきたと言って良い。 事実、インターネット関連の研究・開発も、パソコン(PC)やワークステーション(WS)とそれらの上で稼働するオペレーティングシステム(OS)なども、すべてアメリカを中心に 開発され普及してきたといえる。これは必ずしもわが国の技術が劣っていたゆえではないと考えられる。例えば通信の分野では、基幹技術の研究・開発については多くの先端 技術が日本で開発されてきた。しかるに通信とコンピュータが融合する分散システム構築技術においては、アメリカに大きく立ち遅れてしまったのも事実である。

わが国がこのように統合的、複合的技術の研究・開発で立ち後れてきた背景の一つには、分野間、産学間、世代間の密な交流がないことがある。本研究委員会設置の目的は、 インターネット技術の研究に関与したり応用を試みる幅広い層の研究者・技術者に交流の場を提供し、わが国の立ち後れた研究・開発環境を一新することにある。 このような交流の中で、将来のインターネットの基礎となる技術や応用技術が生まれる素地を固め、21世紀において世界をリードできる具体的な研究・開発のアクション・ プログラムを提唱したい。

参加を呼び掛ける対象は、産業界や大学、国立研究機関、公益法人などでネットワーク技術の研究開発に携わっている研究者・技術者と、それを利用することで新たな飛躍を しようと考えている関連分野の研究者・技術者である。その中心となるのは、全国の大学や研究機関さらには産業界を結集しネットワーク技術の開発とインターネットの普及 で先駆的な役目を果たしてきたJAIN, WIDE, TISN, SINET, IMNETなどの国内基幹ネット関係者と各地の地域ネットワー クの関係者である。これらをコアーに、 新たにインターネットの世界に参入しつつある分野や業界の研究者・技術者を加えて、若い研究者や技術者が分野、業種をまたがって幅広くかつ密に協力できるような研究委員会としたい。

具体的な活動としては、以下のようなことを提案したい。

  1. ATM, MPEG2を積極的に活用する超高速ネットワーク基盤技術開発の共同研究。QOS、セキュリティなどネットワーク活用の基盤技術の共同研究・開発。
    (例) インターネットワークにおける運用技術の開発、研究 インターネットはこれまでも電話網、専用線、Ethernet,FDDI, ATMなどの様々な網構成技術の上に構築されてきており、 今後も新しい技術を取り込みながら、成長を続けていくことが予想される。このとき、新しい技術と既存の技術のそれぞれの良さを生かしながら、ネットワークを運用し、働かせるための様々な工夫が必要となる。 とくにATMなどの高速で高度な機能を有する網に対応する実務的な技術が必須となる。そのために、常に最新の技術を研究し、既存の技術と融合させるための開発を行なう。
  2. 高度アプリケーションの研究・開発。小、中、高、大学の教育のための新しいアプリケーションの開発。
    (例) インターネット利用技術の研究、開発 インターネットがすみやかに拡大し、社会に浸透していくためにはより広い利用者を対象とした利用技術の研究開発が重要である。 たとえば、100校プロジェクトなどの開始により、小中高校の学生の利用が広がり、よりやさしい利用技術の開発が望まれている。一方で、社会の情報化が進む中で、 情報アクセス手段の重要性が高まるとともに障害者やお年よりなどに対する配慮を行なったインターネットの利用技術が必要とされ、そのための研究開発を行なう。
  3. インターネットの社会的側面に関する研究。
    (例) インターネットの組織、社会との接点インターネットを普及させるための社会的インフラの欠如も大きな問題の一つである。もともと大学や研究所を中心に研究目的で使用してきたが、いまやビジネスや行政、 一般教育の利用へと広がっている。これら組織や利用者の拡大に対応してインターネットワークを拡大していくためには地域との連係、行政との連係が必要であり、そのための方法を確立する必要がある。 また、一方で、著作権、モラル、悪用などこれまでの社会制度の枠内では考えられない問題も浮上してきており、法体制、社会制度の整備が望まれている。インターネットという技術によりダイナミックに変化する ネットワークに対応できる社会的インフラの整備が望まれており、そのための活動を行なう。
  4. 本研究委員会の研究・開発によって得られた新しいネットワーク技術の開示と普及。
    (例)インターネットワーク運用管理技術の教育、普及 インターネットは常にその構成技術が変化することから、新しい技術や既存の技術との共生法をできるだけすみやかに現場の運用管理者に教育し、 新技術を普及させることが重要である。そのための人材の育成、教育、普及活動を行なう。
  5. 相互接続テストの場の提供。各専門分野、及びそれに跨った研究会、講習会などの開催。

発起人

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